話をききたくないことだってあるよね

 二年生のヤスくんは、友達とおいかけっこをして、くっつきあって遊ぶのが大好き。一方で、座って落ち着いてすごすのは苦手なようでした。
 月に一回の避難訓練の日、地震がきたらどうするかを話ている時も、ヤスくんは落ち着きなく動き回っていました。
 ある日、五年生のトモくんが「怖い話して!」と私に言ってきました。外階段の下で、怪談大会が始まります。
 子どもたちが少しずつ「なにしてるのー?」とやってきて、10人くらいの輪になりました。その中にはヤスくんの姿もありました。
 私は怖い話をするときに、できるだけ「次はどこの話が聞きたい?」と子どもたちに問いかけます。「がっこう!」「びょういん!」「こうえん!」「うみ!」子どもたちに舞台を決めてもらうのです。そしてその舞台に合った怪談を即興で話したり、すでに知っている話をしたり。こうすると子どもたちもただ聞くだけじゃなく、参加する形になります。どこが怖い話にふさわしいかを考えることで想像力・創造力も育まれたらいいと思っています。
 ヤスくんも「つぎは、くるまのなか!」とリクエストをしています。なかなか楽しそうです。
 私の手があいていそうなタイミングを見つけては怪談大会をひらくのがしばらくブームになりました。
 その次の避難訓練の日、洪水が来たらどうするかを話している時、ヤスくんは私の一番近くに座り、最後まで話を聞いていました。ヤスくんは話を聞くのが苦手だと思っていました。でも苦手だったのは[自分には関係なさそうなつまらない話]だったのかもしれません。
 そして避難訓練の話が終わると、「つぎは怖い話!」と私にリクエストするのでした。
 

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