チャレンジしたくなる心に寄り添う
ナツくんは、どこかクール。いつも友達と遊んでいるし、笑い声も聞こえてきます。でも何か新しいことにチャレンジする機会になると「おれはいいわ」と最初の一歩を踏み出さないことがあります。なんでもかんでもチャレンジしてみなくてもいいのですが、学童に通う6年間のうちに何か一つでも、「思い切ってやってみようかな」と思えるような経験をしてほしいな、と私は考えていました。
三年生の時に、ナツくんは折り紙にハマりました。最初は折り紙が得意な指導員に折ってもらい、できたものをもらうだけでした。そのうちに自分でも折るようになり、少しづつ折るものの難易度も上がっていきました。
ナツくんは五年生になりました。同学年の中の友達は、夏祭りのステージに向けてトーチトワリング(以下トーチ)の練習を始めました。トーチというのは、棒の先に光るサイリウムをつけて回すものです。夜にトーチを回しているのを見ると、とてもキレイです。
ナツくんは「おれはいいわ」と、トーチの練習に参加しませんでした。だけど、難易度の高い折り紙を完成させるほどの集中力を持つナツくんは、きっとトーチも上手になる。指導員には確信がありました。
お迎えの時に、お母さんに夏祭りのステージで五・六年生の有志でトーチをすること、ナツくんも誘っていることを伝えました。お母さんは「私もできればやってほしい。トーチやってるとこ見たいです」とおっしゃいました。ナツくんもそれを聞いていました。
次の日、ナツくんにもう一度アタックします。
「トーチやってみん?できるよ絶対」
ナツくんは少し考えて「あーわかった!じゃあやるわ!」と立ち上がりました。
ナツくんは、持ち前の集中力も存分に発揮して、みるみるうちに上達していきました。他の子もできないような技も、一日中トーチをし続けて、あっという間にできるようになりました。
夏祭りでも「緊張する」と言いながら、立派に最後までトーチを回しきりました。
折り紙の件と、トーチにチャレンジするまでの流れ、どこまでが直接関係があるのか、目には見えません。
だけど、遊びが自信に繋がり、チャレンジすることへのステップになると、私たちは信じています。